認知症の治療について

薬を使わない治療(非薬物療法)も大切です

役割や出番を確保することが自分の存在感を再確認するチャンスになり、自発性を引き出すことにつながります。

薬を使う治療法(薬物治療)のほかに、薬を使わずに、脳を活性化して、残っている認知機能や生活能力を高める治療法があります。

まず最初に取り組むことは、家庭内や地域で本人の役割や出番を作ることです。
認知症が進行して、日常生活で上手くできないことや失敗が多くなると、家族は本人の家庭内での役割や出番を徐々に減らして、「何もしないでもよい」状況を作ってしまいがちです。何もすることがなくなって、呆然として暮らすだけでは、認知機能はさらに低下してしまいます。

そこで、たとえば、いっしょに買い物に行く、食器を片付ける、洗濯物をたたむなど簡単なことでも、役割や出番を確保することが自分の存在感を再確認するチャンスになり、自発性を引き出すことにつながります。

回想法

認知症の本人は、最近の出来事を思い出すことは苦手ですが、若い頃の思い出など昔のことを思い出すことはできます。そこで、昔の苦労話や自慢話をしてもらい、共感を持って聞くことで、一体感が生まれ、認知機能が高まると考えられています。若い頃住んでいた場所を訪れる、若い頃に見た映画やテレビ番組を改めて鑑賞するなどの方法も回想法に含まれます。

認知リハビリテーション

音読・書き取りや計算問題などのドリルは脳の活性化に役立つと考えられていますが、本人が積極的でないときに強要すると、かえって逆効果になることがあります。

音楽療法・園芸療法

音楽を鑑賞したり、演奏すること、花や野菜を育てることは、感情の安定や自発性の改善に役立ちます。

リアリティ・オリエンテーション

自分は誰で、ここはどこかなど、自分と自分のいる環境を正しく理解する練習を重ねることで、見当識などの認知能力を高める効果があります。

このほかにも、ウオーキングや体操などの有酸素運動を取り入れた運動療法、絵画や陶芸などの芸術療法、動物とのふれあいを通じて感情の安定などを目指すペット療法などさまざまな方法があります。

認知症「いっしょがいいね」を支えるガイドブック(監修:横浜総合病院・横浜市認知症疾患医療センター センター長 長田 乾 先生)より

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