欧米と同様に、我が国でもアルツハイマー型認知症が最も多く、年々増加する傾向にあります。アルツハイマー型認知症は、記憶力の低下で始まり、日付・曜日や居場所がわからなくなる見当識障害、料理などの作業の要領が悪くなる実行機能障害、判断力の低下、言葉が円滑に出ないなどの「中核症状」がみられます。
さらに、イライラして怒りやすくなることやものを盗まれたと主張する被害妄想などの「行動・心理症状」が現れることがあります。「行動・心理症状」は「周辺症状」、あるいは「BPSD」とも呼ばれます。
「中核症状」はほとんどの方にみられますが、病気の進行とともに、徐々に強くなります。
一方、「行動・心理症状(BPSD)」は、すべての方にみられるわけではなく、環境や家族の接し方によって、軽くなったり、強く現れることもあります。
- 数分前、数時間前の出来事をすぐに忘れる
- 同じ内容の話や質問を繰返す
- 財布や鍵を置いた場所を思い出すことができない
- 日付や曜日がわからなくなる(見当識障害)
- スイッチの消し忘れが増える
- きちんと薬をのむことができなくなる
- 季節に合った服装を選ぶことができなくなる
- 仕事や家事の要領が悪くなる(実行機能障害)
- 通い慣れた場所で道に迷う
- イライラする場面が多くなる
- 些細なことで腹を立てることが多くなる
- 今までの日課をしなくなる
- 誰もいないのに、誰かいると主張する(幻覚)
- 自分のものを誰かに盗まれたと主張する(もの盗られ妄想)
- 無目的に屋外に出て歩き回る(徘徊)
アルツハイマー型認知症は、いつのまにか始まり、緩やかに進行していくのが特徴です。人によって進み方や症状の現れ方はさまざまですが、おおむね次のような経過をたどります。
認知症「いっしょがいいね」を支えるガイドブック(監修:横浜総合病院・横浜市認知症疾患医療センター センター長 長田 乾 先生)より